その日は近いのではないか。
阪神にとって今季初の中日戦は、先発西勇が七回まで無失点に抑える好投を見せていた。六回に飛び出した佐藤輝のソロ弾による1点を守り切るかと思われたが、救援の湯浅が八回に勝ち越され、この日も敗れた。
阪神は開幕15試合で1勝13敗1分。この惨状に球界の大御所である広岡達朗氏は、「今すぐ監督を途中交代するしかない」と緊急提言し、岡田彰布元監督はデイリースポーツ紙で、「一塁に大山、三塁に佐藤輝を固定」することを求めた。
負けが込めば、そんな外野の声も大きくなるばかりだが、昨年はヤクルトに惜敗し、「今年こそは」と、優勝を熱望するファンのストレスもたまる一方だ。
6日のDeNA戦(甲子園)では、ファン同士の乱闘劇があった。1-0で迎えた九回二死に同点に追いつかれ、延長十二回には相手打線の猛攻で一挙5失点。今季5度目の逆点負けを喫すると、右翼席では阪神のファン同士がケンカを始め、一人が救急車で運ばれる「事件」があった。
甲子園でファン同士のケンカは珍しいことではないが、今季は例年以上に鬱憤が溜まっているようだ。
阪神OBがいう。
「成績もさることながら、負け方がよくないね。開幕15試合で逆転負けが6度もある。こうなってくると、選手と首脳陣の信頼関係もおかしくなってくる。キャンプ前に今季限りでの退任を表明した矢野監督の意図はわからないし、就任4年目でも目指す野球はみえない。失策の多さも改善されず、コーチ陣も機能していない。矢野監督がやっている事には首を傾げることも多く、『今季の4番は佐藤輝と競わせる』といった大山は開幕で7番。主軸の5番起用は開幕5試合目から。開幕ローテに入れた小川は2試合で中継ぎに配置転換です。昨年は優勝を争っていたから見過ごされたことも、低迷が続けば問題点は浮き彫りになるもの。それがファンの怒りを増幅させることになる」
往年の巨人ファンが忘れられないのは1973年の暴動だろう。10月22日の甲子園での巨人戦。勝った方が優勝という大一番で、阪神は0-9の大敗を喫した。怒った阪神ファンは暴徒と化し、約3000人がグランドに乱入。巨人選手に暴行を働き、逮捕者が出た。
約50年の時を経て、絶望と憤怒で身を震わせるファンの乱入劇が再現されるかもしれない。
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