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中国科学者の雄ネズミ妊娠実験が物議…遺伝的な「男性」も妊娠可能か?t

 雄のネズミを妊娠・出産させることに成功したとする中国の科学者の実験が世界的に物議を醸している。



実験を主導した研究者は「生殖生物学に大きな影響を与える可能性がある」と意義を強調しているが、怪物を生み出した科学者を主人公にした英怪奇小説「フランケンシュタイン」になぞらえて批判する声も出ている。


論議を呼んでいるのは中国の海軍軍医大学のジャン・ロンジア氏らの実験。6月に論文が査読前の科学論文を扱うウェブサイト「バイオアーカイブ」に掲載された。



実験では去勢した雄ネズミに雌の体を縫い合わせるなどした上、受精卵を移植。成功率は4%に満たなかったが、帝王切開で10匹の赤ちゃんの出産に成功したという。雄の妊娠は自然界では極めて珍しく、一部の魚類で見られるのみとされる。


この実験について、英科学誌ネイチャー(電子版)は「生命倫理の議論を巻き起こしている」と指摘。「人間を対象とした研究から程遠く、動物モデルというよりも単なる動物実験だ」とするオーストラリアの生命倫理学者の否定的な見方を紹介した。



英動物愛護団体PETAはデーリー・メール紙の取材に、「非倫理的であり、『フランケン科学』の領域にあるものだ」と批判。ツイッターなどのソーシャルメディアでも論争となっている。


ちなみに遺伝的な「男性」も妊娠可能か…? 「子宮移植」にまつわる倫理的な難しさ


7月14日、日本でも子宮移植の臨床研究が条件付きで容認された。子宮移植は3月までに世界で85例以上行われ、40例では出産に成功しているという。ここではその概要を説明するとともに、子宮移植にまつわる倫理的な問題について取り上げたい。



生まれつき子宮のない病気(ロキタンスキー症候群など)やガン手術で子宮を失った女性に対して、子宮を移植して妊娠や出産を可能とする医療技術が、子宮移植だ。


子宮がない、あるいはうまく機能していないために妊娠や出産のできない状態は「子宮性不妊」と呼ばれ、だいたい女性の3~5%が当てはまるとされる。


子宮に問題がある場合は妊娠ができないので、ふつうの不妊治療では対応不可能であり、これまでは子どもをもつために養子縁組をするしかなかった。



子宮性不妊の女性が、自分と遺伝的繋がりをもった子どもがほしい場合には、自分の卵子で体外受精を行なって、その受精卵を使って誰かに代理懐胎と出産(日本では認められていない)してもらうしかない。


そうした中で臨床的な実用化が進むのが「子宮移植」という臓器移植である。


子宮は心臓や肺のように生きるのに不可欠な臓器ではないため、(健康な)子宮のある女性が臓器提供者になる場合(生体ドナー)も死体からの提供の場合(死体ドナー)も、どちらでも可能だ。



この子宮移植は、21世紀になって、人間での臨床応用が進み始めた。


2000年には、サウジアラビアで世界初の子宮移植が生体ドナーから行われたが、3ヶ月で移植された子宮が壊死して失敗した。


それから10年以上経って、2011年にトルコで今度は死体ドナーからの子宮移植が行われ成功したのだが、妊娠出産には至らなかった。


妊娠出産にまで至ったのは、2014年のスウェーデンでのケース(生体ドナー)が最初で、2016年にはブラジルで死体ドナーからの移植でも成功している。



子宮移植の倫理「モントリオール基準」


子宮移植には、他の臓器移植とも共通する倫理的な問題、すなわち生体ドナーの場合の子宮提供者側のリスク、子宮移植を受ける側のリスク、移植された子宮での妊娠や免疫抑制剤が胎児の健康に影響するリスク、臨床実験に対して被験者が「不妊治療」として過度に期待してしまう可能性などがある。


さらに、心臓移植や肺移植のように生死に直結した病気の治療とは異なり、あくまで不妊治療の一環として行われるので、他の臓器移植よりも高い安全性が求められる点でハードルは高い。


そのため、移植医や不妊治療を行う産婦人科医以外のスタッフも参加したチーム医療によって行い、子宮移植を受ける本人、子宮の提供者(生体ドナーの場合)の意思を尊重するインフォームドコンセントの実施が求められる。



そこでは、カナダのマッギル大学のグループが2012年に作成(2013年に改訂)した「子宮移植を倫理的に行うためのモントリオール基準」が、国際的によく参照されている。


トランスジェンダー女性と子宮移植


モントリオール基準では、子宮移植の対象者を、不妊治療を希望する妊娠可能年齢の遺伝的女性に限るとしている。


そこで熱い議論が行われているのが、遺伝的には男性だが、こころは女性で性別変更手術を受けたトランスジェンダー女性に対して子宮移植を行うことの是非だ。


先に紹介したモントリオール基準では、遺伝的な女性にだけ子宮移植を認めており、その理由として安全性を挙げている。


なぜなら、これまでの動物実験はすべて、遺伝的な雌への子宮移植しか行われていないので、遺伝的な男性(トランス女性)への子宮移植は安全性が不明で時期尚早であるとしているからだ。


だが、これは相対的なリスクの大小の問題であって、原理的にダメということではない。


人間の性の多様性を肯定する現在の価値観からすれば、性別変更したトランスジェンダーの「トランス女性」は、生まれつき身体もこころも女性の人びと(「シス女性」)と対等とみなし、女性として平等に扱うべきだとされる。



トランス女性は女性ホルモンを使用しているので、体内の環境はシス女性と同様であり、子宮さえあれば妊娠出産は可能である。


つまり、不妊症の(シス)女性に子宮移植を認めて、トランス女性が子宮移植を受けて妊娠出産することを認めないことは、トランス女性をシス女性から差別して扱っていることになるわけだ。


米国医師会雑誌の最近の論文では、トランス女性182名へのアンケート調査の結果が報告されている。


その論文によると、トランス女性の94%が子宮移植によって妊娠出産して子どもをもつことを希望し、そのことで自分が女性であると実感できるだろうと答えているという。


つまり、子宮移植に対するトランス女性のニーズは高いことがわかる。


公正としての正義という倫理原則からすれば、遺伝的には「男」であるトランス女性が、妊娠して出産する未来は着実に近づいてきている。

中国科学者の雄ネズミ妊娠実験が物議…遺伝的な「男性」も妊娠可能か?t 中国科学者の雄ネズミ妊娠実験が物議…遺伝的な「男性」も妊娠可能か?t Reviewed by RichKid on 7月 19, 2021 Rating: 5

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