香港(CNN) フィリピン軍は1日、南シナ海の環礁「ユニオン堆(たい)」で違法に建設された構造物を発見したと明らかにした。フィリピン政府によると、付近の海域にはここ数週間、中国海上民兵の船舶が集結している。
フィリピン軍はこれらの構造物について、3月30日に行われた海上哨戒活動の最中に見つかったと説明。ただし構造物の正確な位置や建設主体、その構造についての詳細は明かさず、構造物の存在は国際法違反だと述べるにとどめた。
フィリピン軍のシリリト・ソベハナ参謀総長は声明で、「これらの構造物は違法だ」と指摘。「海洋法はフィリピンに対し、当該海域に関する争う余地のない排他的な権利を付与している。こうした建設その他の活動は、それが経済活動かどうかに関わらず、我が国領海の平和や適正な秩序、安全保障にとって有害となる」と述べた。
ソベハナ氏はさらに「外務省や国防省といった高位の文民当局には既に、我が国の主権に対するこうした侵害について最新情報を報告した」としている。
ユニオン堆はフィリピンでは「パグカカイサ堆」と呼ばれ、ウィットサン礁(フィリピン名:ジュリアンフェリペ礁)などで構成される。
同礁はスプラトリー(南沙)諸島の一部で、フィリピンと中国の双方が領有権を主張している。フィリピンは、同礁が自国の排他的経済水域(EEZ)の内側にあると主張。オランダ・ハーグの仲裁裁判所が下した2016年の判断では、南シナ海に対する中国の領有権主張をほぼ全て退けたものの、中国政府はこの判断を認めない姿勢を示している。
フィリピンによると、ウィットサン礁に囲まれる礁湖にはここ数週間、中国海上民兵の指示を受ける漁船200隻あまりが集結。フィリピン政府はこうした漁船の存在は主権侵害だとして中国政府に抗議し、退去を求めていた。
一方、中国政府はこれらの漁船について、ブーメラン形のウィットサン礁によって形成される礁湖の内側に入って荒波を避けていただけだとしている。中国はウィットサン礁を牛軛礁と呼び、自国領土の一部と主張している。
人の土地に勝手に自分の構造物を作っていく、また恐ろしい話だ、他のサンゴ礁を埋立てし、軍事基地化し、国際司法裁判所がそれは違法だと判断しても、紙切れだとして意に介さない中国、同じ話が尖閣諸島で起こっても不思議ではない。
米国とフィリピン、中国の南シナ海での活動巡り協議
米ホワイトハウスによると、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)とフィリピンのエスペロン大統領顧問(安全保障担当)は31日、電話で会談し、中国の南シナ海での活動について協議した。
ホワイトハウスによると、サリバン補佐官とエスペロン顧問は「米国とフィリピンが、引き続き緊密に連携して、南シナ海の課題に対応することで一致」した。
また「サリバン補佐官は、米国が同盟国のフィリピンとともに、ルールに基づく国際海洋秩序を支持することを強調し、南シナ海への米比相互防衛条約の適用を再確認した」としている。
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