エジプトのスエズ運河(Suez Canal)で座礁した巨大コンテナ船について、離礁作業に関わるオランダ企業トップは29日、船体の一部を動かすことに成功したとはいえ、「難関はこれから」と慎重な見方を示した。
サルベージ会社スミット・サルベージ(Smit Salvage)の親会社である、海洋土木大手ボスカリス(Boskalis)のペーテル・ベルドフスキ(Peter Berdowski)最高経営責任者(CEO)はオランダ公共放送NPOのラジオ局に対し、「エバーギブン(Ever Given)」の船首は座礁したままで、作業の最も難しい部分はまだ終わっていない可能性があると指摘。
「船尾が自由になったのは朗報だが、われわれが見る限りこれは楽な方の作業だった。積載物の重量を保ったまま船をスライドさせなければならない以上、難関はこれからだ」と述べた。
スエズ運河庁(SCA)は同日先に、重量20万トンの同船の船首が現在「80%」正しい方向に向いていると発表。
これを受けてアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領は、「きょうエジプト人は、スエズ運河で立ち往生している船の危機の終結に成功した」とツイッター(Twitter)に投稿。離礁に向けた作業の「成功」を称賛していた。
しかしベルドフスキ氏は、「早まって喜ぶ」のは避けたいと語った。
スエズ運河庁のラビア長官が北東部イスマイリヤで記者会見し、明らかにした。ビア氏によると、運河や周辺で足止めされている船舶は29日までに422隻で、航行の正常化に3日間は必要との見方を示した。船体や運河に大きな損壊はないとみられる。
前代未聞のスエズ封鎖で「厳然と賠償を要求」…
エジプトのスエズ運河で今月23日に座礁したコンテナ船の離礁作業が成功し、運河の通航が近く再開されるめどが立った。ただ、世界貿易の大動脈が分断された前代未聞の事態だけに、海運会社による賠償請求など、事故の影響は尾を引きそうだ。
エジプト紙アル・アハラムなどによると、2015年に運河の拡張工事が終わってから、少なくとも計8件の船舶事故があったが、全面的な封鎖は今回が初めて。エジプト当局は今後、座礁船「エバー・ギブン」の船長らを聴取し、事故原因を特定する。当初、強風や砂嵐による視界不良が原因とみられていたが、スエズ運河庁は27日、「人的な要因の事故の可能性がある」との見解を示した。
エジプトにとってスエズ運河は、年間約60億ドル(約6600億円)の外貨を稼ぎ出す重要施設だけに「全面封鎖は極めてまれだが、どの海路でも起こり得る」(エジプト政府)と火消しに懸命だ。エジプトのモハブ・マミシュ大統領顧問は取材に対し、「責任は船の所有者らにあり、スエズ運河庁にはない。厳然と賠償を要求する」と強調する。
「エバー・ギブン」を保有する正栄汽船(愛媛県)や運航会社は今後、スエズ運河庁や航路を妨害された他の船舶から賠償を求められる可能性がある。
あのニュース映像の、斜めに運河をふさいだ画像は、世界の経済に「負のインパクト」を与える強烈なものだったからね。
ひとまず離礁出来たこと、ほっとしています。関係者の努力に敬意を表します。
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