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中国に奪い取られていくフィリピンの「米軍拠点」…さらに前進した中国の南シナ海戦略phi

 1月13日、ジョージ・バイデン次期大統領がカート・キャンベル氏を国家安全保障会議(NSC)のインド太平洋地域総合調整官(Coordinator for the Indo-Pacific) に指名することが、明らかになった。このポストはバイデン新政権が新設するもので、日本や中国を含むインド太平洋地域の軍事・外交政策の司令塔の中心を担うことになる。



キャンベル氏は民主党クリントン政権や同じくオバマ政権で対アジア安全保障政策立案と運用に関与し、とりわけオバマ政権下ではアジア太平洋担当国務次官補としてオバマ政権の「アジア基軸政策」の道筋を付けた。そして、対中国政策においてはいわゆる「取り込み政策」を推進した。


米海軍などの対中強硬派は、オバマ政権の8年間で中国が南シナ海や東シナ海での軍事的優勢を大きく進展させてしまった大きな要因は、その「取り込み政策」にあると考えている。そのため、キャンベル氏がバイデン政権の対中軍時・外交政策の舵取りを任されたことにより、オバマ期の対中姿勢に逆戻りすることは確実であると大きな衝撃を受けている。



■ 中国がフィリピンにワクチン攻勢


すでに中国は、バイデン政権発足を睨んで南シナ海掌握のための動きを着々と進めている。中国の王毅外相は、ミャンマー、インドネシア、ブルネイを訪問し、新型コロナウイルス対策のインフラ整備への援助を約束するとともに、中国製ワクチンの寄付と供給を確約した。


それら東南アジア諸国を歴訪した後、王毅外相は中国の南シナ制覇にとってベトナムとともに鍵となるフィリピンを訪問しドゥテルテ大統領と会談した。ドゥテルテ大統領と王毅外相は、現在直面しているパンデミックに打ち勝つには国際社会の連帯が最も重要であるとし、フィリピンでの感染拡大を抑制するために両国が密接に協力し合うことの意義を強調した。



そして王毅外相は、フィリピンの新型コロナ対策に対して中国が最大限に支援することを約束し、2500万回分の中国製ワクチンの供給契約に追加する形で50万回分のワクチンを寄付することを約束した。


新型コロナ対策とともに中国側が確約したのは、フィリピンの安全保障と国家主権の尊重に関してである。かつてフィリピン政府は中国による南シナ海進出政策に関してフィリピンの主権を侵害しているとハーグの常設仲裁裁判所に訴えており(アメリカが背後で支援していたのであるが)、2016年7月の裁定ではフィリピンの主張が支持されたが、中国はその裁定を完全に無視し、人工島の建設や軍事基地建設を加速させたという経緯がある。



しかしながら、南シナ海での領域紛争ついてはドゥテルテ大統領側から言及されることはなかった模様である。両国は戦略的協力関係をより一層推進させることで合意した。


■ 旧米軍基地を結ぶ鉄道建設


ドゥテルテ大統領と王毅外相の会談と並行して、中比両政府間で、軍事的により重要な合意がなされた。中国によるフィリピン経済再建への支援の一環としての鉄道建設である。これは、9億4000万米ドル規模のプロジェクトであり、スービックとクラークを結ぶ輸送鉄道を中国企業が建設するという契約だ。



首都マニラがあるフィリピン諸島最大の島、ルソン島の西岸の都市スービックには、かつて大規模な米海軍基地が存在していた。スービック海軍基地は、1898年に米西戦争に勝利したアメリカが手にして以来、日本軍に占領された期間(1942~1945年)を除いて、1991年までアメリカ海軍が南シナ海に面する重要拠点として使用した。


アメリカ軍が去った後は自由貿易港や空港が併設されたスービック経済特別区となっているが、フィリピン海軍の軍事施設も存在し、時折アメリカ海軍や海上自衛隊の艦艇なども寄港している。



一方、クラークはスービックから約50キロ北東の内陸の都市である。かつてクラークには20世紀初頭にアメリカ軍が軍事拠点を建設し、1941年の日米開戦時にはアメリカ軍の大規模な航空施設が設置されていた。スービック海軍基地と同じく、1942年から1945年までの間は日本軍によって占領され日本海軍航空基地として使用されていたが、1945年にアメリカが奪還すると1991年までアメリカ軍が大規模な空軍基地を運用していた。


1991年末にはスービック海軍基地とともにフィリピンに返還され、周辺地域にはクラーク経済特別区が設置された。基地そのものはフィリピン空軍基地として使用されている。2012年には再びアメリカ軍を迎え入れる話も浮上したが、実現には至っておらず、その代わりに中国資本によるクラーク経済特別区への参入が始まった。


このように、かつてアメリカ海軍とアメリカ空軍が重要な拠点を設置していたスービックとクラークを直結する鉄道を中国が建設することになったのである。



いまだにスービックには海軍施設が、クラークには空軍施設がそれぞれ存在しているため、鉄道の整備や経済特区の開発に加えて、中国が軍事施設の再整備に乗り出さないとも限らない。


■ さらに前進した中国の南シナ海戦略


オバマ政権の対中融和的な「取り込み政策」によって、あっという間に南シナ海での中国の軍事的優位が強化された。それに対してトランプ政権は対中「封じ込め政策」の拠点として、アメリカ軍をフィリピンに舞い戻らせる心づもりを固めていた。


しかしながら、米軍が舞い戻ろうとしていたスービックとクラークに、中国が先手を打って大規模投資を開始することになったのである。



これによって、たとえ多くのフィリピン国民が親米的であるとは言っても、中国によるフィリピン取り込み、それに南シナ海掌握はさらに一歩進んだと言わざるを得ないだろう。

中国に奪い取られていくフィリピンの「米軍拠点」…さらに前進した中国の南シナ海戦略phi 中国に奪い取られていくフィリピンの「米軍拠点」…さらに前進した中国の南シナ海戦略phi Reviewed by RichKid on 1月 24, 2021 Rating: 5

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