旧ソ連構成国モルドバで24日に初の女性大統領が就任した。親ロシア派に代わって親欧米派の大統領で、ロシアには新たな頭痛の種となる。
どんな国なのか。
旧ソ連は名目上、15の共和国で構成されていた。モルドバは第2次大戦まではルーマニアのベッサラビア地方だったが、スターリンによって併合され、モルダビア・ソビエト社会主義共和国となった。若き日のブレジネフ、チェルネンコ両書記長が人脈を培った場所で「モルダビア・マフィア」と呼ばれる勢力がソ連を率いた時代がある。1991年に独立したが、ロシア系住民が多い東部は「沿ドニエストル共和国」を名乗ってモルドバからの分離独立を主張している。
サンドゥ新大統領はどういう人か。
米ハーバード大を2010年に卒業後、ワシントンに残って世界銀行で2年ほど勤務した経験がある。米政府周辺に人脈を持つといわれている。19年6~11月、5カ月間だけ首相を務めたが、議会で不信任案が通り退陣している。
反ロシアなのか。
大統領選勝利後の記者会見で沿ドニエストルに駐留するロシア軍について「モルドバ側からの合意はもはや存在しない」と述べ、撤収を要求した。欧州安保協力機構(OSCE)の監視団と交代するよう求めている。これに対し、ロシアのラブロフ外相は「現地の安定にほとんど寄与しない。そうした無責任な要求を認めるわけにはいかない」と強く反発している。
対決姿勢を強めそうか。
サンドゥ派は議会の4分の1の議席しか確保していない。大統領選後、反サンドゥ派は公安機関の監督権を大統領から議会に移管する法案を通してみせ大統領権限弱体化を図ろうとするなど揺さぶりを続けている。サンドゥ新大統領としては前倒し総選挙でまず議会のサンドゥ派を増やしたい。外交に関しては「バランスを心掛ける」と約束したが、年明けの初外遊先はウクライナというロシアにとって微妙な国を選んでいる。
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