日本政府が、海上自衛隊が導入予定の多用途の新型護衛艦「30(さんまる)FFM」をインドネシアに輸出することを計画しているという。防衛装備品としての護衛艦を輸出できれば、初めてのケースだ。防衛専門家は、日本と米国、オーストラリア、インドが主導する「自由で開かれたインド太平洋」構想に、インドネシアを加え、南シナ海や東シナ海での、中国の軍事的覇権拡大を牽制(けんせい)する狙いがあると分析している。
防衛省海上幕僚監部などによると、「30FFM」は、2018(平成30)年度予算で建造計画が認められた「フリゲート=FF」で、「M」は「多目的」と「機雷」を意味する。
海上自衛隊の人員不足を踏まえ、全長は約133メートルと従来艦よりコンパクトで、乗組員も100人程度と省人化を図った。東シナ海での中国艦船への警戒監視任務などに当たるため、再来年には就役予定という。
菅義偉首相は10月下旬の初外遊で、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領と会談し、防衛当局間での防衛装備品の移転や、技術協力に向けた協議を進めることで一致した。今月2日には早速、両国の防衛相がテレビ会談を行い、防衛協力を推進することを確認した。
今回の輸出計画をどうみるか。
評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「中国が力を背景に現状変更を試みることを念頭にした動きだ。インドネシアは南シナ海での権益をめぐり、中国と対立せざるを得ない位置にある。『自由で開かれたインド太平洋』構想が将来、『アジア版NATO』に発展した場合、インドネシアは仲間に入ってくる」と指摘する。
そのうえで、安倍晋三政権が14年に風穴を開けた「防衛装備移転三原則」の決定後、正面装備では初の輸出になることについて、こう語った。
「今回のケースを突破口に、今後は潜水艦などの輸出も想定される。東南アジア諸国が、日本製の装備を輸入・運用するようになれば、万が一、それらの国が日本を敵視してきた場合、戦略的に供給を止められる。対立抑止の効果もある。正面装備の輸出は、日本の防衛生産力の維持に加え、日本の安全保障の確保にも資する」
約束を守らないインドネシアというところが引っかかるが、日本製品に対しては評価の非常に高い国だし、日本のイメージアップにも好適かも。でも、万一の中国寄りの方針転換に備え、主要部分は徹底してブラックボックス化してからにしてほしい。
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