SunNewsJPへようこそ (^_^) 良い一日を

タイが中国の潜水艦購入延期!安倍首相の置き土産を無駄にするな

 タイ政府は中国からの潜水艦輸入調達を、少なくとも1年間は棚上げにする決定を下した模様である。日本が門戸を開いた「日本から国際社会に向けての戦略的兵器輸出」にとって、好機到来である。国際社会への戦略的兵器輸出によって、裾野の広い防衛関連産業が活性化し、ひいては日本経済再生の原動力の一つとなることが期待される。



かつて安倍首相はオーストラリアのアボット首相との信頼関係に基づいて、次世代潜水艦選定作業に取りかかっていたオーストラリア海軍に、「そうりゅう」型をベースとする潜水艦の売り込みを図ろうとした。


しかし、すでに日本が参加する数年前から売り込み活動を開始していたフランスとドイツの壁は厚い上、本格的兵器輸出の経験とノウハウを全く持たない防衛省をはじめとする日本政府や日本防衛産業界は、潜水艦輸出という超大型取引の土俵に上がることすらできなかったというのが実情であった。



今回のタイ海軍調達計画の一時的頓挫は、日本にとって潜水艦輸出再挑戦の機会となり得る事件と言えるかもしれない。


2017年にタイ政府は中国からの3隻の潜水艦調達を決定した。1隻目の元型S-26T潜水艦は現在中国で建造が進められ、2024年中にはタイ海軍に引き渡される予定となっている。



2隻目、そして3隻目のS-26T潜水艦調達価格は約760億円(8月31日のドル円レート換算で)で、7年間にわたって支払われる予定となっていた。だがタイ国会の予算調査小委員会では、与党(プアタイ党)議員にも反対の立場を取る議員が存在したため、8月25日の潜水艦追加調達費決定会合において2隻目、3隻目の購入予算は僅差で可決された。すると、野党(民主党)はじめ多数の市民から潜水艦追加購入に反対する声が上がり、SNSなどを通して抗議活動は極めて強いものとなった。


追加購入に反対したプアタイ党議員は「現時点で潜水艦追加購入を棚上げにしてもタイと中国関係に悪影響を及ぼすことはない。新型コロナウイルス対策、そして経済再生政策のほうが潜水艦調達よりもタイ国民にとって重要であることを、中国政府に納得させることができる」と述べている。


同時に、中国からの潜水艦購入は国家間の公式契約ではなく、タイ海軍代表者と中国企業代表者が取り交わした契約であり、現在1隻の潜水艦を建造しているとはいえ、契約には引き続いて2隻目そしてそれ以上を購入しなければならないという取り決めはなされていない、とも指摘した。



タイ海軍首脳は、このような指摘に対して、事実を歪曲していると反論した。そして、是が非でも少なくとも3隻の近代的潜水艦を手にしたいタイ海軍側は「タイ国防のために強力な潜水艦戦力は必要不可欠である」と、プラユット政権や与野党、そして多くの国民に対して、潜水艦購入調達の重要性を強調している。また「潜水艦調達は海軍戦略上の要請であり、政争の具にすべきではない」とも力説している。


タイ政府当局も、潜水艦建造契約は政府間の契約であるとの立場を確認したものの、「新型コロナウイルス感染拡大によってタイ史上最悪と言われるほどの大打撃を受けているタイ経済の再建と、新型コロナ対策を優先的に推し進めよ」との世論や野党、そして一部与党の声に耳を貸さないわけにはいかなくなり、この時期における潜水艦の追加調達費計上に躊躇する姿勢が見え始めた。



結局、プラユット・チェンオチャ首相(兼国防相、退役陸軍大将)が自らタイ海軍に対して、現時点での潜水艦追加調達要求を取り下げるよう説得し、タイ海軍としても2021年度予算における潜水艦追加調達費要求額をゼロとしたという。


これによって、少なくとも1年間はタイ海軍による2隻目、3隻目の中国製S-26T潜水艦の調達計画は中断することとなった。そして、潜水艦追加調達予定額とほぼ同額が新型コロナウイルス感染に伴う経済再建策に対する予算として確保されたとのことである。



7年間分割の潜水艦追加調達費とほぼ同額が緊急経済再建策に投入されるとなると、場合によってはS-26Tの追加調達は1年間の中断ではなく中止に追い込まれる可能性もあると考えられる。


米国のオバマ政権は、タイで軍人政権が発足したことに反発して、それまで密接であった米軍とタイ軍の関係を弱体化させる政策を打ち出した。その状況を好機と捉えた中国政府は、タイとの軍事的関係を構築するため、タイ軍当局に対して戦闘車両の売り込みや潜水艦を含む軍艦の売り込みなどを強烈に推し進めた。その結果、タイ軍・政府当局は中国からの潜水艦や戦車の調達に踏み切ったという経緯がある。


それに対して、タイ軍との良好な関係を維持することの戦略的重要性を熟知していた米軍関係者たちは、オバマ政権がタイ軍事政権を冷たくあしらう姿勢を強く批判していた。現在、オバマ政権と違ってトランプ政権は、経済的のみならず軍事的にも対中国包囲網を構築しようとしている。したがって、アメリカとしては中国に取り込まれつつあるタイ軍を自らの陣営に引き戻す必要がある。


そのための一手が、中国製潜水艦調達計画を頓挫させて、元型S-26T潜水艦2隻に取って代わる潜水艦をタイ海軍に供給することである。


しかしながら、アメリカは原子力潜水艦しか建造することができず、タイ海軍に供給する潜水艦を建造することはできない。



そこで出番となるのが、世界的にも高水準の潜水艦建造企業を2社も擁する日本である。


日本メーカーの潜水艦は、S-26Tより高性能で世界中の海軍関係者から高い評価を受けている。タイ海軍が是が非でも欲しい高性能潜水艦を、日本政府が中国よりも好条件を提示して、2隻といわず4隻、そして6隻を供与するとの交渉を開始すれば、1隻のS-26Tという高い月謝を払ってしまったタイ海軍、そしてタイ政府が日本から調達する方針に転換する可能性がないわけではない。


もちろん、中国側がそう簡単にタイ海軍への追加輸出を諦めることなどあり得ない。そして、タイでの好機に乗じて、韓国、フランス、ドイツ、スウェーデン、そしてロシアなども、すでに売り込み工作を開始しているかもしれない。


日本政府はその競争に打ち勝つ覚悟を決め、安倍首相による置き土産ともなる「潜水艦の輸出」という防衛装備移転三原則の具体的推進を今度こそ成功させなければならない。

タイが中国の潜水艦購入延期!安倍首相の置き土産を無駄にするな タイが中国の潜水艦購入延期!安倍首相の置き土産を無駄にするな Reviewed by RichKid on 9月 03, 2020 Rating: 5

0 件のコメント:

読者の方からのコメント、いつもありがたく拝読させていただいております。感想のみのひと言コメントでも構いませんので、皆様の書き込みをお待ちしております。
Powered by Blogger.