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中国が南シナ海に配備した強力な爆撃機、戦準備の可能性も

 南シナ海・西沙諸島の永興島(ウッディー島)に中国海軍の新型爆撃機「H-6J」が配備されている模様である。これまでも中国海軍爆撃機や戦闘機が南シナ海で実戦的訓練を実施している状況はしばしば確認されていたが、前進海洋基地に爆撃機が配置されたのは初めてということになる。


■ 西沙海戦に勝利して領有体制を確立


永興島は、中国とベトナムが領有権紛争を続けている西沙諸島の中心の島である。海南島からおよそ300キロメートルの永興島からは、中国が建設した南沙諸島の人工島基地群までおよそ700~850キロメートル、そして中国が掌握しようとしているスカボロー礁までおよそ600キロメートルである。


1974年1月、中国はベトナム戦争の混乱に乗じて西沙諸島に軍事侵攻し、南ベトナム軍との間で島嶼攻防戦(西沙海戦)を引き起こした。双方に 多数の死傷者が出て、ベトナム軍艦1隻が沈没し、3隻が損害を受け、中国軍艦4隻も損害を受けるという本格的な戦闘であった。戦闘に勝利した中国は、西沙諸島全域を占領して軍事拠点などの設置を開始し、その後、完全な領有体制を確立して現在に至っている。


現在、中国による西沙諸島実効支配の中心である永興島には、戦闘機や爆撃機が使用できる2700メートル滑走路、さらには5000トン級の軍艦が着岸できる港湾施設などの軍事施設が設置されている。また、南シナ海の「中国海洋国土」(西沙諸島、南沙諸島それに九段線内部の海域)を管理する三沙市政府行政機関も設置されている。


■ 攻撃目標を長射程ミサイルで攻撃


永興島に配備されたとみられるH-6J爆撃機は中国海軍航空隊が運用している新型爆撃機で、東シナ海の日本領空にしばしば接近してくる中国空軍H-6K爆撃機の海軍バージョンである。


中国軍が海洋上空に投入する爆撃機は、主としてアメリカ海軍やアメリカの同盟国海軍などが中国領土沿岸に接近するのを阻止するための兵器群の1つである。そのため、爆撃機といっても攻撃目標上空に接近して爆弾を投下するよりは、攻撃目標よりはるか離れた安全な空域から、長射程ミサイルで攻撃することを主任務としている「ミサイル爆撃機」である。


新鋭H-6J爆撃機は最大7発の各種ミサイルを装着することが可能とされている。H-6Jそして空軍のH-6Kには対艦攻撃ならびに対レーダー攻撃用のYJ-12超音速巡航ミサイルが搭載されるため、米海軍などにとっては大きな脅威とされている。


それに加えてH-6JにはCM-401対艦弾道ミサイルも搭載されると言われている。


かつてアメリカ軍も航空機発射型弾道ミサイルを開発していた。だが、アメリカから長距離を爆撃機で運搬した後に発射する航空機発射型は弾道ミサイルとしてのメリットが減じられてしまうので、開発は立ち消えとなってしまった。しかし中国軍の場合、アメリカ軍と違い中国沿海域上空からミサイルを発射することになるため、航空機発射型の弾道ミサイルは極めて有用な接近阻止兵器となる。


地上から空母などの大型艦に向けて発射される対艦弾道ミサイルも、現時点ではイージスシステムでの防御は難しい(中国側が喧伝する性能が真実であった場合)と考えられるが、航空機発射型弾道ミサイルはさらに防御が困難な代物だ。


■ 中国にとっての戦略的意義


中国には、このように強力な新鋭爆撃機を島嶼前進拠点に展開させることにより、中国大陸からの直接掩護(えんご)が困難な、南方から南シナ海に接近してくる米海軍空母への備えを強化する狙いがあるものと思われる。


アメリカ軍は、東アジア戦域で中国海軍と対峙するには、中国軍同様に自らも接近阻止戦力を手にしなければならないという方針に転換しつつある。しかしながらそのためには、接近阻止戦力の主力となる地上発射型対艦攻撃兵器(地対艦ミサイル、ロケット)を日本、フィリピン、マレーシアなどに設置しなければならず、外交的に極めて前途多難である。


したがって、アメリカ海軍は依然として伝統的な空母中心主義から脱却することはできない状態が続いている。そこで、中国軍は空母を“目の敵”とし、地対艦弾道ミサイルやH-6JやH-6Kなどのミサイル爆撃機、それに永興島や南沙人工島基地群に設置した各種対艦ミサイルによって、撃破する態勢を強化しているのである。


トランプ政権が、中国に対する強硬姿勢を示すために南シナ海に海軍艦艇や爆撃機を頻繁に派遣すればするほど、中国側はアメリカの軍事的脅威を言い立てて、自衛戦力強化のためという大義名分を掲げ、次から次へと南シナ海の軍事力を強化している。その結果、ますます周辺諸国にとっての脅威が増大していくのである。

中国が南シナ海に配備した強力な爆撃機、戦準備の可能性も 中国が南シナ海に配備した強力な爆撃機、戦準備の可能性も Reviewed by RichKid on 8月 20, 2020 Rating: 5

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