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A-10「サンダーボルトII」最新型のC型は40有余年の時を経て「完成」の域へ

まだまだ飛ぶよ! A-10「サンダーボルトII」最新版はC型

アメリカ空軍の攻撃機A-10「サンダーボルトII」は、抜群の火力を発揮する30mm機関砲、チタニウム合金による重装甲、低速ながら長時間の空中待機能力を持ち、また独特の形状もあって多くの軍用機ファンから絶大な支持を集める人気機種となっています。

簡素で頑丈、安価で武骨なA-10は「漢(おとこ)の乗りもの」である、として愛する人も少なくないようです。確かに初期型のA-10Aはこうした攻撃機だったといえるかもしれません。しかしながら2020年7月現在は、全機がA-10Cと呼ばれる高性能攻撃機へ近代化改修され、大きく性格が異なる近代的な航空機へと生まれ変わっています。

A-10Cの対地攻撃能力は、A-10Aとは比較にならないほど向上しました。とはいっても約7tの兵装搭載量や約800km/hの速度性能も変わっていません。何が変わったのかというと、A-10CはIT化され「スマートになった」ということです。具体的には「赤外線前方監視装置(FLIR)」や「統合戦術情報分配システム(JTIDS)」の搭載が挙げられます。

赤外線前方監視装置は「スナイパー」または「ライトニング」と呼称する映像センサーであり、これによってA-10は昼夜を問わず監視対象の映像を取得することが可能となりました。また映像は動画として地上へリアルタイム送信することができ、A-10Cは偵察機としても機能します。

中身はもはや別物なA-10C どれほど画期的なのか

もうひとつの統合戦術情報分配システムは、A-10CだけではなくF-35やF-15のような戦闘機、早期警戒機、イージス艦、そして地上部隊をつないだ戦術ネットワークであり、さまざまな命令や情報を共有します。これによって地上軍は正確にA-10Cへ攻撃して欲しい目標を伝達することができるようになりました。

このふたつによるA-10Cの能力向上は劇的であり、逆を言えばA-10Aは、現在の水準ではもう優秀な地上攻撃機とはいえません。なぜならA-10Aを含め「旧来の攻撃機は実はほとんど地上攻撃ができない」からです。

たとえば地上軍から「サカイリバー北のマチダストリートを走る白いピックアップトラックを爆撃してくれ。近くにいる大型トラックは友軍だから注意しろ」という要請があったとします。A-10Aのパイロットにとってこれはとても難しい課題となります。土地勘が無ければ、サカイリバーやマチダストリートという地名を言われてもなかなか分かりませんし、さらに空からはピックアップトラックや大型トラックを見分けることは困難です。

A-10Aのパイロットは、膝に取り付けた紙の地図と外の景色からサカイリバーとマチダストリートを確認、たくさん走る地上の車両からピックアップトラックを探し、それが無関係の車両ではないことを確認するため地上軍と何度も音声によるやり取りをしなければならず、これを怠ったりどこかで認識のすれ違いが生じたりすると誤射してしまうこともあり得ます。

A-10で「やりたかったこと」がようやく実行できるように

しかしA-10Cならば地上軍から統合戦術情報分配システムを通じ、攻撃して欲しい目標の位置座標が正確に送られてきます。そのため迅速に赤外線前方監視装置によって照準でき、続いて赤外線前方監視装置によって得られた映像を地上軍へ送信しそれが正しい目標であることを確認してもらえるため、最初の攻撃要請から極めて短い時間でミサイルや誘導爆弾を正確に投下することが可能です。

こうした地上軍と密接に共同し爆撃する作戦を「近接航空支援」と呼び、古くは無線が実用化された第2次世界大戦ごろから行われています。しかし上記のように音声無線だけでは非常に難しい任務であり、実のところ20世紀中の近接航空支援は時間がかかる上に失敗や誤射が多い、とても難しい作戦でした。冷戦時代は核攻撃しすべて解決してしまうことさえ真剣に考えられており、実際Su-7やF-105など核搭載戦闘爆撃機が開発されるほどでした。

A-10Aはこうした核一辺倒の考えをやめ、近接航空支援専用機として設計されましたが、その思想はA-10CでIT化、スマート化することで、初飛行から40年を経た現代でついに完成に至ったといえるのかもしれません。
A-10「サンダーボルトII」最新型のC型は40有余年の時を経て「完成」の域へ A-10「サンダーボルトII」最新型のC型は40有余年の時を経て「完成」の域へ Reviewed by RichKid on 7月 15, 2020 Rating: 5

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